温度と湿度

温度と湿度
写真、イラスト、詩、インスタレーション、短歌の展示

会場:京都精華大学ギャラリーTerra-S
会期:2024年1月26日(金)~1月31日(水)
   11:00~18:00 日曜日休場・入場無料 

主催:吉田優夏
参加作家:吉田優夏、向井彩夏、無度、平岡真生

パフォーマンス:
本展参加作家の平岡真生が下記のスケジュールでパフォーマンスを行います。
1月26日(金)13:00–18:00
1月27日(土)11:00–18:00
1月29日(月)–1/31(水)不定期に実施

>>京都精華大学ギャラリーTerra-S

シーソー See-Saw 藤川 奈苗

シーソー See-Saw 藤川 奈苗 Nanae Fujikawa

今回の藤川奈苗の新作を見て、彼女は今大きく生まれ変わろうとしているのだと私には思えて仕方ない。そこで、語弊があることを厭わず、新しい藤川を「アンチ-ウロボロス派」(筆者造語)の画家であると定義づけてみたい。

以前の藤川であれば、古代の古墳の壁に描かれた龍神のごとく、ウロボロス(註)的であり、天も地もなく、始まりも終わりもない、「完全」な形状と色彩による調和を目指していたのかもしれない。(事実彼女は、両親の都合で高校生の時期に奈良に住み始めたのだが、すぐ近くには大きな古墳があった。彼女は古墳の内部に描かれているであろう壁画を夢想し、それをモチーフに絵を描き始めている)

しかし新作において彼女は、それまで彼女を覆っていた呪縛を自ら剥ぎ取り、満身創痍の肉体をあえて公衆に曝け出そうとしているかに見える。これまでの自身の画風を根こそぎ裏切り、自分で自分の尾を噛みちぎり血を流す大蛇のように見えなくもない。しかし、そのほとばしる血は測り知れないエネルギーを生み出す泉でもある。

抽象でもなく、具象でもない、カテゴリーに当てはめられることを拒絶し、彼女は奔放なストロークとフィギュラティブなモチーフでアンチ-ウロボロス派という狼煙を挙げた。帰路を約束された安全な旅をやめ、彼女は切符を持たない旅人として新たな出発点に立とうとしているのかもしれない。

註)ウロボロス(古代ギリシア語: ουροβóρος)は、古代の象徴の1つで、己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したもの。ヘビがみずからの尾を食むことで、始まりも終わりも無い完全なものとしての象徴的意味が備わった。循環性(悪循環・永劫回帰)、永続性(永遠・円運動・死と再生・破壊と創造)、始原性(宇宙の根源)、無限性(不老不死)、完全性(全知全能)など、意味するものは広く、多くの文化・宗教において用いられてきた。wikipwdiaからの抜粋
テキスト:Gallery OUT of PLACE 野村ヨシノリ 2023年12月


ステートメント
日常の中で、心に響く色や線をもとに、画布の上に描いたり消したりを繰り返し、何度も色を重ねて制作してきた。
そうした中で毎回画面上に記号のようなかたち(モチーフ)が、意識的なのか無意識なのか現れては消え、消えては現れる。
それらは作品を完成させるための道しるべのようなものであり、中には最後は消されて痕跡しか残らないものもある。
今回、その自分の中にある馴染んだモチーフ、-子どもの頃遊んだ公園のジャングルジムのようなもの-を最後まで消すことなく描きたくなった。
みえたりみえなくなったり、シーソー(See-Saw)のように、過去の面影と未来での再会との間で揺れ動きながら、今を忘れない、私はそれを刻む。
文:藤川奈苗 2023年11月

会場:Gallery OUT of PLACE
会期:2024年1月12日(金)~2月11日(日)

木~日 12:00~19:00開廊 ※月・火・水休廊

アーティストトーク+レセプションパーティ
1月13日(土)18:00~19:30
作家全員が在廊しトークに参加します。ぜひご来場ください。
入場無料

>> Gallery OUT of PLACE