齋藤 彩 展 2022
Aya Saito 2022
会場: KYOTOBA 京都場
会期:2022年10月29日(土)~12月11日(日)12:00~19:00
月・火曜休館 入場無料
「齊藤彩の絵画と向かい合うこと―個我から大我へ」
「本当の命は地下茎の中に隠れていて見えない。地上に見えるのはひと夏だけ生き続けるに過ぎない。それは衰えていく、つかの間の現れなのである」(カール・グスタフ・ユング)
齊藤彩の絵を観ていていつも思うのは、一人の表現者の作品における深さと豊かさだ。
齊藤自身は「いいものをかけるようにひたすらスコップで穴掘りをしています」と語る。
彼女のその一途な制作態度はその純粋さにおいて「アール・ブリュット=生の芸術」の作品と比較されるように思う。それは齊藤の絵画には「表現する喜び」とともに「表現すること=生きること」のような切実さも観る者の心に喚起させるからだろう。
ところで齊藤の作品にはタイトルがない。
ある意味で絵日記のようなものだ。また描く時期によって作品のスタイルも変化していくように見える。
齋藤彩は「ドンドンほれ、どんどんホレ」という思いで絵を描いていくという。
絵を描いていく。
毎日制作を続けていく。
「個の表現を掘り下げていく」とユングの言う「集合的無意識」の場所に果たして辿り着くのだろうか?
改めて齋藤彩の絵画を観ること。
それは彼女の個の表現の深層を観ることだ。
そしてその絵を観る私たちの心との「生命の交流」が始まることだ。
京都場館長・仲野泰生(元川崎市岡本太郎美術館学芸員)
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