辻本佳ダンス作品 渠♯京都|Mizo#Kyoto

 

辻本佳ダンス作品  渠♯京都|Mizo#Kyoto 

この一年半を過ごして、私には正誤を判断することは極めて困難であると感じました。正しさとおかしさの波に揺られていると、これまで地続きにあると思っていた将来が歪んで見える時があります。仕事は減ったのか、元々それほどなかったのかは、わかりません。しかし、さまざまな補償により、自分と社会との関係とお金について考える時間と機会がたくさん生まれました。
もちろん、望んでダンスをするということを選んだわけですから、ずっと不安とは隣り合わせにいたわけです。なので、不安定さでいえば、これまでと殊更変わっていないともいえます。しかし、先人たちが培ってきたたくさんのものは、これからゆらゆらと、ずるずると、揺れて、崩れて、どこかへ消えてしまうのではないかと、不安になることがあります。

何に張り詰めているのか分からないこの状況に対応するためには、場所を移動し、人に会い、本を読む。本を読んで、人に会い、場所を移動する。移動し、作品を作り、人に会う。
とにかく、この、本を読む、移動する、作品を作る、人に会う、を繰り返すことができれば、何かノウハウとネットワークを得ることができる可能性があります。この活動をやめない方法は、自分の目で見て、身体で知る、これぐらいしかないと考えています。

『渠』では、大都市圏のものではない比較的小規模なオルタナティブスペースでの作品発表のあり方を探ります。オルタナティブスペースの多くは、使われなくなった建物です。そこにはかつて栄えた産業や文化の痕跡があり、それらは私にとって魅力的なスペースであると同時に、そのスペースが立脚するコミュニティとの結節点でもあります。特に、会場となる建造物に色濃く残る「痕跡」に着目し、地域の歴史的な背景を踏まえて多義的に作品化すべく、制作されたダンス作品の上演を行います。
京都公演では、前作「洞」と、京都府南丹市、長野県茅野市での滞在制作をふまえ、『渠』シリーズの現在をお見せいたします。

渠|Mizo

人は様々な状況に適応し移動してきました。
思考するということは、移動することです。
移動するということは、道を作ることです。
道を作るということは、往来することです。
往来するということは、交配することです。
交配するということは、離反することです。
離反するということは、移動することです。
移動するということは、磨耗することです。
磨耗する自然、磨耗する道、磨耗する建物、磨耗する歴史、磨耗する人

人は、五感と記憶を使って、場所を理解します。
ある場所の、ある地域の、ある空間の、ある身体の、さまざまな窪みを身体で記憶することで、それを踊りにしようとしています。
不安定な場所で、不確定なものを作ろうと思います。

覗いてください。

辻本佳

会場:京都芸術センター・フリースペース

日時:
2021年11月26日(金)18:30
2021年11月27日(土)13:00/19:00
2021年11月28日(日)13:00
※開演30分前より、開場いたします。

チケット:
予約一般     ¥3,500
予約U29     ¥2,000
一般写真付*予約のみ     ¥7,000
予約U29写真付*予約のみ     ¥5,500

●当日精算用予約フォーム
https://forms.gle/dKBRUFM6shhtyznNA

●Peatixクレジット決済や、コンビニでの支払いが可能です。
https://mizokyoto2021.peatix.com/

※会期中、京都芸術センター・ミーティングルーム2において、『渠』シリーズで製作された、写真作品等の展示も行っております。

出演・演出・音楽・美術|辻本佳

スタッフ

舞台監督・照明:渡川知彦
美術制作:松本成弘
演出助手:清水康介
振付助手:小倉笑
記録映像:奥田ケン
記録写真:金サジ

問い合わせ:つじもとけい事務所

主催・企画制作:つじもとけい事務所
共催:京都芸術センター Co-program 2021カテゴリーD「KACセレクション」採択企画
協力:一般社団法人フリンジシアターアソシエーション supported by KAIKA
助成:文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

>>詳細 辻本佳|つじもとけい事務所